2024.10.18

埼玉営業所 産業医の先生のお話 ~高血圧について~

今回は高血圧についてお話していただきました。

生活習慣を改善することで、改善や予防が期待できるそうなので少し意識してみようと思います!

 

 

おはようございます。

本日の朝礼講話は「高血圧」についてお話しします。

生活習慣病の中でも代表格で、日本人に一番多い病気です。

定期健康診断で、高血圧と指摘されている方も多いと思います。

病院で飲み薬をもらって飲んでいる方もいらっしゃいますね。

現在、日本の人口1億2200万人中、1/3以上の4300万人の高血圧患者さんがいるとされています。

そのうち、きちんと受診して、治療により適切に血圧がコントロールされている人は1/3未満の1200万人程度と言われています。

 

では、高血圧とはどういう病気でしょうか?

(medipaletteより)

 

そもそも血圧とは、体中に張り巡らされた血管を、その中を流れる血液が押す圧力のことです。

その圧力は、心臓が血液を押し出す力(心拍出量)と、血管の中の血液の流れづらさ(血管抵抗)によって決まります。

「上の血圧」が、心臓が縮んで血液が流れ出す時の、一番高くなった時の数字で、収縮期血圧と呼びます。

「下の血圧」は、心臓が広がって血流がゆるやかになって、血圧が最も低くなった時の数字で、拡張期血圧と呼びます。

(なお、細かく言うと、血圧は家庭ではリラックスしてより低くなり、診察室や健診の時はやや高く出るので、

診察室血圧と家庭血圧は平均5くらい、家庭血圧の方が低くなるとされています。

基準値として出てくる数字はすべて診察室血圧であり、家庭血圧についてはそれぞれの数字から5を引いてお考え下さい。)

まず、正常血圧は、上が120mmHg未満、かつ下が80mmHg未満です。

上が140以上、下が90以上、片方だけでも超えた場合を高血圧と定義します。

では、血圧が高いとなぜいけないのでしょうか?

人が生きていくには、全身に張り巡らせた血管を血液が流れることで、酸素や栄養を体中に運搬し、

また代謝産物などの老廃物を腎臓や肝臓に流すことで、解毒や浄化することが必要です。

そのために、血管を長持ちさせなければいけません。

血管をホースと考えてください。例えばゴムのホースに水を流す際に、蛇口目いっぱいまで開いて最大水流で流し続けたら、

弱い圧力で流すよりも劣化が早いですよね?

人間の場合も、必要以上の高い血圧は、血管を劣化させて、さまざまな病気になる確率を高くしてしまうのです。

 

血管を劣化させる病気には、高血圧のほかに、糖尿病(血糖値が高い状態)や

脂質異常症(コレステロールや中性脂肪値が高い状態)、それらによる動脈硬化症などもあります。

高血圧と動脈硬化は、鶏と卵のように、それぞれが原因と結果になり得て、悪循環です。

これらの状態を放置していると、脳卒中(脳出血や脳梗塞)、心筋梗塞や、前回朝礼講話でおはなしした腎臓病を引き起こす危険が高まります。

心不全リスクもあげるとも言われています。

高血圧の中には二次性高血圧といって、副腎の腫瘍や腎臓病など、ほかの病気が原因となって高血圧になってしまう場合もありますが、

日本人の場合は、本態性高血圧と言って体質や塩分の取りすぎ、肥満など生活習慣によって高血圧の状態になってしまう場合が約9割とほとんどを占めます。

 

高血圧によってどんな症状が出るかというと、頭痛や後頚部の熱感や重い感じ、肩こりなどを感じることもありますが、

自覚症状なく血管の劣化が進み、いきなり脳卒中や心筋梗塞などを発症する場合も多いです。

年齢とともに血管は硬くなり血圧は上がりがちですので、健康診断で血圧をチェックするのはもちろん、健診で高血圧を指摘されたり、

ある程度年を重ねたら(概ね男性は35歳以降、女性は50歳以降)、自宅に血圧計を完備し日常的に家庭血圧を測ることをおすすめします。

高血圧の治療は、75歳未満の場合は130/80mmHg未満を目標に、75歳以上でも140/90mmHgを目標に適切な種類と量の内服降圧剤でコントロールします。

また、薬以外でも、生活習慣を改善することで、高血圧の改善や予防が期待できます。

何よりも効果的なのは減塩、減量、禁煙、節酒であり、減塩を含めた食事療法や運動療法で減量を目指せます。

 

 

 

減塩については、高血圧の方は、1日6g未満が目標です。

日本人は塩分摂取量が多いのですが、減塩でも美味しく食事をするために、香辛料や酢などを用いたり、素材の味を味わうなどを工夫をしてみてください。

 

最後に、家庭血圧を記録して、平均135/85mmHgを超えていたり、健康診断で高血圧を指摘された方は、

必ずかかりつけ医(いない場合は近くの病医院)を受診して、適切な検査や治療を受けてください。

そして、本日お話しした内容で生活習慣に気を付け、健康診断の結果を有効に利用することで、健康長寿を目指しましょう。

大雑把な内容でしたが、これで朝礼講話を終わります。ご清聴ありがとうございました。

 

産業医 渡辺 由紀子