2023.06.30

埼玉営業所 産業医の先生のお話 ~食中毒~

今回は食中毒についてお話しいただきました。

予防方法をきちんと守って対策していきましょう!

 

 

今回の朝礼講話のテーマは食中毒です。

食中毒とは、食中毒を起こすもととなる細菌やウイルス、有毒な物質(自然毒や化学物質)がついた食べ物を食べることによって、腹痛や下痢、嘔気や嘔吐、発熱などの症状が出る病気のことです。

原因の種類によって、口にしてから症状が出るまでの時間、症状、治るまでの期間は色々です。

衛生状態が改善し食品の加工保管技術が進んだ近年は、日本国内での死者は年間数人程度ですが、命にかかわる事もありえます。

(戦前から戦後は年数百人、終戦直後は二千人近くが亡くなった年もあります。)

 

  • 細菌:カンピロバクターやウェルシュ菌など
  • ウイルス:ノロウイルスなど
  • 寄生虫:魚介類に寄生するアニサキスなど
  • 自然毒:きのこ、野草、ふぐなどに含まれる天然の毒
  • 化学物質:ヒスタミン、薬品(漂白剤)など

 

 

細菌による食中毒は湿度や気温が高く、細菌が増えやすい梅雨と夏)、6月から9月頃、まさに今及びこれからの季節に多くなります。

ウイルスによる食中毒は冬に流行します。

また、キノコや魚のフグなどには、自然に有毒な物質を含んでいるものがありますし、アニサキス等の寄生虫による食中毒は1年中発生しています。

これらは日常の至る所に存在している可能性があります。肉や魚等の食材には細菌やウィルスが付着しているものと考えた方がよく、様々なものに触れる自分の手にもついていることがあります。

このため、日頃から食中毒の予防に注意する必要があります。

 

 

では、食中毒を予防するにはどうすればいいのでしょうか。

食中毒の予防は、細菌の場合は、原因菌をつけない増やさないやっつける、の3原則

ウィルスの場合は、持ち込まない広げないつけないやっつける、の4原則が基本となります。

(1)つけない=洗う、分ける

(2)増やさない=低温で保存する

(3)やっつける=加熱処理

です。

ウィルスの場合は、調理場内にウィルスを「持ち込まない」=健康状態の把握、管理、及び「広げない」=手洗い、消毒、清掃、が大切です。

 

家庭での食中毒予防は、食品を購入してから調理して食べるまでの過程で、これらの原則を実践することになります。

その方法を6つのポイントに落とし込んでご説明します。

 

①買い物(食品の購入)

消費期限の確認や、生鮮冷凍食品は最後に買うこと、寄り道せずすぐ帰ること、など。

②(家庭での)保存

冷凍や冷蔵の食材はすぐ冷凍庫(-15℃以下)冷蔵庫(10℃以下以下)に入れること。

入れる際に食品を詰め込みすぎず、隙間を作ること。

肉や魚は他のものと接しないように。触る前後に手洗いをすること。

③下準備

調理前に手洗い。

野菜などの食材を流水で綺麗に洗うこと。

使った調理器具や布巾は、洗った後、熱湯や漂白剤で消毒し、しっかり乾燥させること。

④調理

調理前の手洗い。

肉や魚は十分に加熱させる(中心部75℃1分間が目安)

⑤食事

食べる前に手洗い。

清潔な食器を使い、料理は長時間食卓に放置しない。

⑥残った食事

残った食品を扱う際にも手洗い。

清潔な容器に保存。

長時間たったものや少しでも怪しいと思ったら、思い切って捨てる。

 

3原則、4原則、そして6つのポイントでしつこいほど出てくる手洗いについて、繰り返します。

手に付着した細菌やウィルスは、水洗いだけでは取り除けません。指の間や爪の中まで、石鹸を使って正しい方法で洗う必要があります。

具体的に手洗いの方法を実演します。

 

 

食中毒は上記の簡単な予防方法をきちんと守れば予防できます。

それでももしお腹が痛くなったり、下痢をしたり、気持ち悪くなって吐いたりした場合、それは原因物質を排除しようとする体の防御反応です。

自己判断でむやみに市販の下痢止め等を飲んだりせず、早めに医師の診断を受けましょう。

朝早く仕事開始前に、ご清聴ありがとうございました。

 

産業医 渡辺 由紀子