2019.08.19
埼玉営業所で産業医の先生が熱中症についてお話してくださいました。
熱中症の危険と隣り合わせの職業である軌道工にとって日々この言葉は耳にしていますが
おさらいもかねてしっかり意識することができたのではないでしょうか。
「熱中症について」
おはようございます。今日もまた暑い1日ですね。
今年の夏は猛暑、と言われるようになって何年たったでしょうか?
今年も、長い梅雨が明けた途端に、連日、北海道も含めて全国的に日中30℃台の日が続き、ここ埼玉では連日35℃以上となっています。
そして、この暑さの中、7月以降、熱中症で病院を受診したり、救急車で運ばれたりする方も多くなっています。残念ながら亡くなる方も、高齢者中心に毎年全国で700人近くいらっしゃいます。
さて、よく聞く熱中症ですが、そもそも熱中症とは何でしょうか?
熱中症とは、温度や湿度が高い中で、体内の水分と塩分のバランスが崩れ、体温調節ができなくなり、高熱、めまい、だるさ、ひどいときは痙攣や意識障害などをおこす症状の事です。
昔は日射病という言葉をよく聞いたかもしれません。真夏の太陽の光の下、今ご説明した症状を起こすことをそう呼んでいましたが、これらの症状を引き起こす要因となるのは、気温だけではなく湿度もそうであり、天気が曇りでも室内でも起こりうる症状ですので、正確な表現として熱中症となりました。
熱中症には様々な症状がありますが、重症度は大きく分けて三つあります。
まず、Ⅰ度、軽症は、めまい、立ちくらみ、こむら返りや手ありのしびれ等の症状で、基本的には涼しい場所への移動と安静、水分(できれば冷やしたもの)と塩分の補給で改善します。
頭痛、吐き気、だるさ、また集中力や判断力の低下が出てきたら、Ⅱ度、中等症です。軽症の時の対処に加えて、衣類をゆるめ、体を冷やす等の処置も必要になってきます。口から水分が飲めない場合や、症状が改善しない場合は、早めに病院を受診してください。点滴等の治療がされます。
Ⅲ度、重症になると、受け答えや会話がおかしいなどの意識霜害や意識消失、けいれん、普段通り体が動かないなどの運動障害、また異常な高熱等の症状が表れます。この場合は、急いで救急車で病院に向かってください。集中治療を急がなくてはならない状態です。
冒頭に申し上げた通り、ただでさえ高温多湿な日本の夏の、平均気温は上昇し、さらに夏の期間自体も長くなっていて、平成20年代前半は、年間の熱中症死亡者が1000人をこえることもありました。ですが、近年は、熱中症予防の重要性が言われるようになり、皆さんの知識や対策が増えてきたことで、亡くなる方は減ってきます。
さらに熱中症患者さんを減らすために、正しい知識を再確認して、対策を徹底してください。
予防法としては、まず、熱中症になりにくい体づくりのために、しっかり睡眠をとることです。睡眠不足だと熱中症になりやすいです。そして、活動中はこまめな休憩を心がけてください。
日中夜間を問わず、体に熱がたまるのを避けるために、できるだけ通気性がよく、吸湿性、速乾性のある衣類を着用してください。それでも暑い場合は、保冷材や氷、冷たいタオルを使って適宜体を冷やすことも必要です。冷やす場所は、首の周り、わきの下、太ももの付け根等の太い血管がある部分がおすすめです。手のひらや顔の頬っぺたを冷水で冷やすというのも有効です。
環境整備として、室内はエアコン等で温度を調節してください。カーテンやすだれ等も使えます。外出時には日傘や帽子を着用し、日陰等を利用してください。
それから重要なのは、こまめに水分を補給することです。室内でも、外出時でも、のどの渇きを感じなくても、こまめに水分と塩分を補給してください。
以上、一般的な熱中症対策をお話ししましたが、職場でのお話ということで、STOP!熱中症クールワークキャンペーンというものをお知らせします。令和元年5月1日から9月30日まで厚生労働省・都道府県労働局等が合同で行っているものです。
今までに申し上げた死亡数等は高齢者が中心ですが、職場で熱中症で亡くなる方も毎年全国で10人をこえ、重症となって4日以上仕事を休まなくてないけなくなる方は400人以上います。このため、各事業所でも熱中症予防に取り組みましょう、というものです。
この中では、暑さ指数の把握も重要になります。
暑さ指数とは、WBGT値ともいい、気温、湿度、輻射熱の3つから計算されるものです。輻射熱とは、体温や建物、地面から出る熱の事です。正確には各職場で測定できますが、環境省が地域ごとのWBGT値を毎日発表してますので、そちらも参考にされてください。
以上、朝早いお時間に、話が長くなってしまって申し訳ありません。
再度要点を申し上げますと、体に熱をためないよう、環境や服装を整備した上で、水分と塩分をしっかりとり、適宜休息をとりながら、無理のないように作業をしてください。
熱中症かな、と思われる症状となったら、または周りにそういう症状の方がいたら、すぐに体を冷やし水分を取らせるなどの対処と、重症と思われる場合はすぐに病院に連れていく、もしくは救急車を呼ぶことをためらわないでください。
清聴ありがとうございました。
産業医 渡辺 由紀子