2022.08.23
今回は、食事と健康というテーマでお話していただきました。
”食事”はとても身近なテーマですね。
食事はバランスが大事とはよく聞きますが、何をどうしたらいいのか・・・
ぜひ先生の講和を読んでいただき、参考にしてください。
早速ドレッシングはノンオイル青じそに変えようと思います( *´艸`)
今日は、「食事と健康」というテーマでお話ししたいと思います。
人間は、生きる上で、必ず何かを食べないと生命を維持することは出来ません。もし、何も食べないと、人体にはエネルギーが入って来ないので、エネルギーが出て行かないように省エネになります。まずは脳でのエネルギー消費を減らし、次に体の筋肉を壊してエネルギーに回します。そのようにして、何とか生命維持を行うように体は働きます。ちなみに何も食べなくても2か月程度は生き延びられると言われています。空気がないと3分、水がないと3日しか生き延びられません。何も食べなくても2か月程度と言いましたが、日本に暮らしていれば、食べ物は周りに溢れていて、食べるものに困ることはありません。24時間コンビニやスーパー、ファストフード店はやっていて、簡単に食べ物にありつけます。しかし、人類の歴史を振り返ると、今のように食べ物が溢れている時代はほんのわずかで、多くの時代は飢餓との戦いでした。そのため、人間の体には、少ない食べ物でもなんとか生命維持出来るような機能が備わっています。その機能が、この食べ物が溢れている時代には皮肉にも、人にとって肥満や糖尿病を引き起こす原因の一つとなっています。だからといって、簡単にその機能を変えることは出来ません。お腹が空けば、食欲が刺激されますし、美味しそうなものを見れば、ヨダレが出てきます。美味しそうなものがあれば、ついついつまみ食いをしたくなります。仕方ないことです。でも、その感情を上手くコントロールする必要があります。何でもかんでも思いのままに暴飲暴食では、胃腸に負担が掛かりますし、肥満や糖尿病になってしまいます。
肥満や糖尿病の原因の多くは、食生活などの生活習慣によるものです。ただそれだけではなく、先祖から受け継いだ遺伝による影響もあります。同じような生活をしていても、太りやすい人、太りにくい人。と、違いを感じることはありませんか。それは遺伝による代謝・吸収の違いが影響しているのかもしれません。実際に、遺伝の影響は研究でも明らかにされていて、両親や祖父母に糖尿病の人がいれば、自分が糖尿病になる確率は通常よりも2-3倍に増えます。とは言っても、家族にいるから病気になっても仕方ないと、放っておいていいわけでもないのです。そのような場合には、より意識して気を付ける必要があります。必ず糖尿病になるというわけではないので、食生活や生活習慣を意識して変えることで、病気になる確率をぐっと引き下げることが出来ます。
人においてエネルギー源となる主要な栄養素は、炭水化物・蛋白質・脂質の3つです。その次に、人の体を作ったり、調子を整えたりする栄養素として、ビタミン・ミネラルがあります。炭水化物は、ご飯・パン・麺類などの主食、いも類や果物、食物繊維としてきのこ類や海藻類が含まれます。主食は分解されてエネルギーになります。食物繊維は腸内環境を整えてくれます。蛋白質は、肉や魚、卵や大豆、牛乳などに含まれます。筋肉や皮膚、爪、髪の毛などを作ってくれます。脂質は、バターやマーガリン、マヨネーズ、肉や魚の脂肪に含まれます。脂肪というと食べたくないと思うかもしれませんが、エネルギーの割合が高く、体の細胞を構成する成分として重要な働きをしてくれます。ビタミンは、野菜・果物・穀物に多く含まれていますが、肉や魚にも含まれています。全部で13種類あり、様々な働きで炭水化物や蛋白質の働きを助けてくれます。ミネラルは、カルシウムや鉄などで、体の調子を整える様々な働きをしてくれます。炭水化物・蛋白質・脂質・ビタミン・ミネラル、それらをどのようにどんな割合で、どんな調理方法で、どんな順番で食べるか、それが非常に大切になります。例えば、ダイエット目的に、極端に食事量を減らしたり、偏った食事内容になったりすると、体にとって必要不可欠なものが足りないといった状態になってしまいかねません。そして、そういった無理をする生活は決して長続きしません。短期的には体重減少などの結果に繋がるかもしれませんが、少し長い目で見ると、結局リバウンドしてしまったり、体調を崩したりすることにも繋がります。なので、ゆるく長く続けていくこと、続けていけることをやることが、長期的な健康に繋がります。
では、少し具体的に良い食習慣と悪い食習慣を説明したいと思います。
・食べ過ぎ、摂り過ぎ、飲み過ぎなどやり過ぎはやめましょう。
適量を心掛けることが大切です。1日における適切な摂取エネルギー量は、身長から理想体重を割り出し、運動量などから計算で概算することが可能です。例えば、身長170 cmの人は、理想体重は63.6 kgとなり、1日の運動量が多い場合(長時間スポーツをしたり、肉体労働をしたり)は、2,800kcal〜3,000kcal以上が必要と推計されます。これを元に、食事のバランスを考え摂取することが大事です。1日3回や4回に分けて、1度にたくさんの量をドカ食いすることは避ける必要があります。また、同じ量でも食べる時間によって、吸収の度合いも変わります。寝る前にたくさん食べ、すぐに横になると、脂肪になりやすかったり、胃腸の負担にもなったりしますので注意が必要です。
・食事はできる限りバランス良く、野菜や肉・魚類を最初に口に、主食は後まわしにしましょう。
よく言われていることですが、血糖値の上昇の観点からも、食べる順番は大切です。野菜や肉・魚などの蛋白質から食べることで、血糖値の上昇を緩やかにしてくれます。
・味付けは薄く、塩・醤油・ドレッシング・マヨネーズなど調味料の過剰な使用に注意しましょう。
味付けは濃くすると濃い味に慣れてしまい、どんどんと濃くなってしまいます。塩分の過剰摂取は、血圧上昇に繋がります。日本人の塩分摂取量は外国に比べて多いのですが、その中でも東北地方ではより多く、脳卒中の発生率も高い傾向にあることが示されています。ラーメンやうどんなどは、スープやつゆを飲み切ると相当な塩分量になりますので、注意が必要です。食べた後、やたらと喉が乾いたりする場合は、過剰な塩分摂取によって体が水分で濃度を薄めて欲しいという合図を送っていると思って下さい。和食はバランス良く色々なものを食べられますが、煮物は砂糖などの調味料が多く使われるため、食べ過ぎには要注意です。そして、野菜を食べるときは出来るだけドレッシングは少なめに、野菜の味を楽しみましょう。美味しいドレッシングもたくさんありますが、ドレッシングの味だけしか感じないのは要注意です。使うとしたらノンオイル青じそドレッシングなどがオススメです。
・甘い飲み物のがぶ飲みや飲み過ぎは要注意。
飲み物を飲むと、そのままダイレクトに胃腸まで届き、液体なのですぐに吸収されます。少ない量に多くの砂糖が使われている場合があり、血糖値も上がりやすく、糖尿病発症の原因となります。重症の場合は、血糖値の上昇に体が対応しきれずに体が酸性に傾き、最悪意識障害となってしまうこともあります。夏場では、糖を多く含んでいるスポーツドリンクや清涼飲料水の飲み過ぎによって、重症の糖尿病を発症し、救命救急センターに搬送されるという人が必ずいます。
次に、積極的に摂取した方がいい食べ物を紹介します。
・きのこ類や海藻類
きのこ類や海藻類には食物繊維が豊富に含まれており、腸内環境を整えてくれます。食事の最初や主食を食べる前に食べておくと、血糖値の上昇なども緩やかにしてくれる効果もあります。積極的な摂取が望まれます。
・大豆
大豆は別名、畑の肉と言われる程、栄養価が非常に高い食べ物です。良質な蛋白質と、脂質、ビタミン、ミネラルをしっかり含んでいます。豆腐、納豆、豆乳など様々な食品がありますので、毎日積極的に摂取しましょう。
・発酵食品
発酵食品とはヨーグルトや乳酸菌飲料、納豆、味噌などです。腸内環境を整えてくれるので、免疫機能を高める効果もあります。
・野菜
野菜は1日350g以上食べるといいとされています。350gは生野菜なら両手3杯分、茹でたものなら片手3杯分が目安です。毎食野菜を食べる習慣が大切です。市販の野菜ジュースはあまり勧められません。なぜなら、飲みやすいように砂糖や塩で調整して、思った以上の糖質と塩分を摂取してしまうことになったり、製造過程で野菜に大切なビタミンや食物繊維が失われてしまっていたりと、得たいものは得られず、摂りたくないものをより摂ってしまう、という結果になっているものが多いからです。
このようなことを少し頭に入れておくと、コンビニやスーパーなどで食べ物を選ぶときに、少し行動が変わるかもしれません。毎日甘い飲み物を買っていたところをお茶にしたり、野菜の惣菜を一品足して野菜を積極的に摂取したりと、その少しの変化が重要で、長い目で見ると、じわじわと効果が出てくると思います。ただ、食べることは楽しいことでもあります。あまり制限して我慢し過ぎたり、考え過ぎたりすると、必ず反動、リバウンドが起こりますので、急激にどうにかしようということは、そのようなリスクが伴うことにも注意が必要です。
最後に、効果的なダイエット方法を一つ紹介します。食べたもの、飲んだもの、口に入れたものを全て記録する、レコーディングダイエットです。全て記録していく、そしてそれを見返すと、思った以上に食べていることが分かったり、自分の食事の偏りや、頑張るより甘やかす方が多かったり、など自分の行動を客観的に知ることが出来ます。記録するのが面倒だから、つまみ食いをしないなどの予防効果もあります。続けることが1番の障害になりますが、今はスマホでも管理出来たりしますので、是非記録をして、自分の食生活を客観的に振り返るということをしてみて下さい。
産業医
池田 迅